ある日の朝、歯を磨いている時にふとベロの側面に違和感を覚え、鏡で確認したところ、5mmほどの小さなしこりのようなできものを見つけました。色は周囲と同じピンク色でしたが、指で触れると少しコリコリとした感触があり、痛みは全くありませんでした。私は以前から健康に関する情報を収集するのが好きだったため、真っ先に「舌癌」という言葉が脳裏をよぎり、その瞬間から心臓の鼓動が激しくなったのを今でも鮮明に覚えています。インターネットで検索すればするほど、痛みがないしこりは危険だという情報ばかりが目に入り、仕事中もベロのできものばかりが気になって集中できませんでした。食事の際も、その部分に食べ物が当たらないように慎重になり、夜も不安で何度も目が覚めてしまいました。3日が経過しても大きさは変わらず、私は意を決して大学病院の口腔外科を受診することにしました。診察室の椅子に座り、先生にベロを引っ張り出されてライトを当てられた時は、死刑宣告を待つような心境でした。しかし、先生は私のベロを触診した後、穏やかな声でこう言いました。これは線維腫という良性の腫瘍ですね、おそらく過去にこの部分を噛んでしまったり、歯並びの影響で常に刺激が加わっていたりしたことで、粘膜がたこのように厚くなったのでしょう。その言葉を聞いた瞬間、全身の力が抜け、それまでの不安が嘘のように消え去りました。癌ではないことが分かり、希望すれば切除もできるけれど、急ぐ必要はないとの説明を受け、私はひとまず経過観察を選択しました。この体験を通して痛感したのは、自分の体に見慣れないものができた時の精神的なダメージの大きさと、専門家に診てもらうことの重要性です。自分一人でスマホの画面と睨めっこしていても、不安が募るだけで解決には至りません。また、今回のことで自分のベロの状態を日常的に観察する大切さを学びました。今では毎朝のルーティンとして、ベロを左右に動かして異変がないかチェックしています。もしあの時、放置していたら、私は何ヶ月も恐怖に震えながら過ごしていたかもしれません。痛みがないからこそ怖いという病気もありますが、逆に痛みがないからこそ良性の腫瘍である場合もあることを知り、冷静な対応が必要だと強く感じました。現在、あのできものは特に変化なく私のベロの一部として存在していますが、もう私を怯えさせることはありません。同じような不安を抱えている人がいたら、まずは勇気を出して病院へ行ってほしいと心から伝えたいです。