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なぜ口内炎でリンパまで痛くなるの?体の防御反応の仕組み
口の中にできた、たった一つの小さな口内炎。それなのに、なぜか顎の下や首の付け根あたりまでズキズキと痛む。そんな経験はありませんか。「ただの口内炎なのに、なぜこんなに広範囲が痛むのだろう?」「何か悪い病気ではないか?」と、不安に駆られる方も多いでしょう。しかし、このリンパの痛みは、多くの場合、あなたの体が正常に機能し、病原体と戦っている証拠なのです。そのメカニズムを理解すれば、過度な不安を和らげることができます。まず、理解しておくべきなのは、口内炎は単なる「傷」ではなく、れっきとした「炎症」であるということです。口の中を噛んでしまったり、細菌やウイルスが粘膜に感染したりすると、その部分に体の免疫細胞が集結し、病原体を排除しようと戦いを始めます。この戦いの現場が、赤く腫れて痛む「炎症」の正体です。そして、この戦いにおいて重要な役割を果たすのが、「リンパ系」です。リンパ系は、体中に網の目のように張り巡らされたリンパ管と、その要所要所に存在する「リンパ節」からなる、免疫システムの中核を担うネットワークです。リンパ節は、いわば体の「関所」のようなもの。リンパ管を通って流れてきたリンパ液をろ過し、そこに紛れ込んだ細菌やウイルスなどの異物をチェックし、排除する働きをしています。口の中に口内炎ができると、その炎症部位から、細菌やウイルス、あるいはその死骸といった「敵の情報」が、リンパ液に乗って、最も近くにある関所、つまり顎の下(顎下リンパ節)や首(頸部リンパ節)のリンパ節へと運ばれます。情報を受け取ったリンパ節は、すぐさま臨戦態勢に入ります。リンパ球などの免疫細胞を大量に増員し、敵を攻撃するための準備を始めるのです。この時、リンパ節の中では、免疫細胞が活発に増殖・活動するため、リンパ節自体が風船のように腫れ上がり、熱を持ちます。これが、「リンパ節の腫れ(リンパ節腫脹)」です。そして、腫れ上がったリンパ節が、周りの組織を圧迫することで、「痛み」として感じられるのです。つまり、口内炎でリンパまで痛むのは、口の中の戦いが、最寄りの防衛基地であるリンパ節にまで拡大し、そこで激しい攻防が繰り広げられているサインなのです。これは体が正常に機能している証拠ですが、同時に、口の中の炎症がかなり強いということも示唆しています。