歯を1本あるいは数本失ってしまった際、その両隣の歯を支柱にして橋を架けるように人工歯を固定するブリッジ治療は、インプラントのような手術を必要とせず、入れ歯よりも違和感が少ないため、非常に多くの患者に選ばれている治療法です。このブリッジ治療を検討する上で避けて通れないのが費用の問題ですが、日本の歯科医療制度においては保険診療と自由診療の2つの選択肢があり、どちらを選ぶかによって支払う金額は劇的に変わります。まず保険診療の場合ですが、これは国民皆保険制度に基づいて3割負担(年齢や収入により1割から2割)で治療を受けられるもので、使用できる材料や設計に厳格なルールが存在します。一般的に保険適用のブリッジでは、金銀パラジウム合金という金属が使用され、前歯の場合は目立たないように表面に白いプラスチック(レジン)を貼り付けることが可能です。費用面では、失った歯が1本で両隣を削る3ユニットの構成であれば、検査代や型取り代を含めておよそ1万円から2万円程度が自己負担額の目安となります。ただし、これには歯を削る前の基礎治療や歯周病検査の費用は含まれていないため、トータルではもう少し余裕を見ておく必要があります。一方で自由診療、いわゆる自費診療を選ぶ場合は、保険の制約を受けずに最新の材料や高度な技術を用いることができます。自費診療のブリッジで最も人気があるのはオールセラミックやジルコニアといった、金属を一切使用しない材料です。これらは天然の歯に近い透明感があり、経年劣化による変色や歯肉の黒ずみが起きにくいというメリットがありますが、費用は全て自己負担となります。自費の相場は歯科医院の立地や設備によっても異なりますが、1本当たり(1ユニット当たり)10万円から15万円程度が一般的です。つまり3ユニットのブリッジであれば、30万円から45万円、あるいはそれ以上の費用が必要になる計算です。高額に感じられますが、自由診療では型取りの精度が高まり、支台歯との適合性が向上するため、二次虫歯のリスクを低減できるという長期的な費用対効果も考慮すべきでしょう。また、保険診療では認められない貴金属(金合金や白金加金)を使用することも可能で、これらは展延性に優れているため、支台歯への負担を最小限に抑えることができます。ブリッジの費用を考える際には、目先の支払額だけでなく、そのブリッジが何年持つか、将来的に再治療が必要になったときにどのようなリスクがあるかまで含めて、歯科医師と十分に相談することが大切です。特に、土台となる歯の寿命はブリッジ全体の寿命に直結するため、治療費だけでなくその後のメンテナンス費用も予算に組み込んでおくべきでしょう。