歯医者の基本をサルでもわかるようにまとめた

2025年12月
  • そのベロの口内炎、ただの口内炎じゃないかも?舌がんとの見分け方

    知識

    ベロにできた、痛い口内炎。通常は、1〜2週間もすれば、自然に治っていくものです。しかし、もし、その「口内炎らしきもの」が、2週間以上たっても、一向に治る気配がない場合、それは、単なる口内炎ではない、別の深刻な病気、特に「舌がん」の可能性を、念のため、疑う必要があります。舌がんは、口の中にできるがん(口腔がん)の中で、最も発生頻度が高いがんです。そして、その初期症状が、口内炎と、非常によく似ているため、発見が遅れてしまうケースが、少なくありません。しかし、早期に発見できれば、治癒率も非常に高いがんです。過度に恐れる必要はありませんが、見分けるための、正しい知識を持っておくことが、あなた自身の命を守ることに繋がります。では、一般的な「アフタ性口内炎」と、「初期の舌がん」には、どのような違いがあるのでしょうか。まず、最も大きな違いは、「痛み」です。一般的な口内炎は、初期から、強い痛みを伴います。食べ物がしみる、触ると痛い、というのが特徴です。一方、初期の舌がんは、意外にも、「痛みがほとんどない」か、あっても、ごくわずかであることが多いのです。「痛くないから大丈夫」という自己判断が、最も危険なのです。次に、「見た目と感触」です。口内炎は、境界がはっきりした円形で、表面は白く、柔らかいのが特徴です。一方、舌がんは、境界が不明瞭で、形もいびつであることが多く、赤と白が混ざったような色をしていることもあります。そして、最も重要なのが、「硬さ」です。指で触れてみた時に、ただの荒れではなく、粘膜の下に、硬い「しこり」や、芯のようなものを感じる場合は、がんの可能性が高まります。また、「期間」も、重要な判断基準です。前述の通り、口内炎は、通常2週間以内に、治癒の傾向が見られます。しかし、舌がんは、自然に治ることはなく、むしろ、時間が経つにつれて、徐々に大きくなっていきます。もし、あなたのベロにできた口内炎らしきものが、①2週間以上治らない、②痛みがほとんどない、③硬いしこりを伴う、という、三つの特徴のいずれかに当てはまる場合は、絶対に放置せず、速やかに「歯科」、できれば「口腔外科」を標榜している医療機関を、受診してください。専門家による、正確な診断を受けることが、何よりも大切です。