舌の白さは胃腸からの危険信号かも
東洋医学には「舌は内臓の鏡」という言葉があります。これは、舌の状態を見ることで、体の中、特に消化器系の健康状態を推し量ることができるという考え方です。鏡で見た時に舌が真っ白で、分厚い舌苔に覆われているとしたら、それはあなたの胃腸が疲れている、あるいは不調をきたしているという危険信号かもしれません。では、なぜ胃腸の調子が悪いと舌が白くなるのでしょうか。そのメカニズムにはいくつかの側面があります。まず、胃腸の機能が低下すると、食べたものの消化吸収がうまく行われなくなり、体内に余分な水分や老廃物が溜まりやすくなります。東洋医学ではこれを「湿邪(しつじゃ)」と呼びますが、この湿邪が舌苔を厚くする原因になると考えられています。胃もたれや食欲不振、軟便や下痢といった症状と共に舌が白くなっている場合は、この可能性が高いでしょう。また、胃腸が荒れていると、口の中に不快なガスが上がってきたり、口内環境そのものが悪化したりして、舌苔の原因となる細菌が繁殖しやすくなります。さらに、舌の粘膜の健康維持には、ビタミンB群をはじめとする栄養素が不可欠ですが、胃腸の吸収能力が落ちていると、いくら食事で栄養を摂っても、うまく体内に取り込むことができません。その結果、舌の粘膜の新陳代謝が滞り、古い細胞が剥がれ落ちずに舌苔として蓄積してしまうのです。もし、舌磨きなどの口腔ケアをしても舌の白さが改善しない、そして同時に胃腸の不調を感じているのであれば、アプローチすべきは口の中だけではないかもしれません。消化の良い食事を心がけ、胃腸を休ませてあげること。それが、巡り巡って真っ白な舌を改善する近道となるのです。