ある朝舌に赤い斑点を見つけた私の話
それは、特に変わったことのない普通の平日の朝でした。歯磨きを終えて口をすすぎ、何気なく鏡に映った自分を見た瞬間、私は思わず息をのみました。舌の真ん中あたりに、まるで赤いインクを数滴垂らしたかのような、鮮やかな赤い斑点がいくつか散らばっていたのです。昨日の夜までは確かになかったはず。痛みも違和感も全くないのが、逆になんとも言えない不気味さを感じさせました。頭の中を駆け巡るのは、インターネットで見たことのある怖い病気の名前ばかりです。もしかしたら何か大変なことになっているのではないか。そんな不安に駆られ、私はすぐにスマートフォンで検索を始めました。画面には、安心させる情報から深刻な病気の可能性まで、様々な情報が溢れかえっており、読めば読むほど混乱は深まるばかりでした。その日は一日中、舌のことが頭から離れませんでした。食事をしていても、仕事の会議中でも、ふとした瞬間に舌の赤い斑点のことが思い出され、心ここにあらずといった状態です。誰かに相談しようにも、口の中を見せるのは恥ずかしい気がして、一人で悶々と悩む時間が過ぎていきました。それから数日、私は毎日恐る恐る鏡で舌を確認するようになりました。すると、三日目の朝、あれほど鮮やかだった赤い斑点の色が少し薄くなっていることに気づきました。そして五日目にはほとんど目立たなくなり、一週間が過ぎる頃にはすっかり消えていたのです。今思えば、数日前に食べた熱々のグラタンで軽い火傷でもしたのかもしれません。あの時の不安な気持ちは、健康であることのありがたみを私に痛感させてくれました。