ある朝、歯磨きをしようと鏡を覗き込んだ時、自分の舌が普段とは違う真っ白な状態になっていることに気づき、ぎょっとした経験はありませんか。ピンク色であるはずの舌が、まるで白い苔のようなもので覆われていると、何か悪い病気ではないかと不安になるのは当然のことです。しかし、舌が真っ白になる原因は一つではなく、その多くは深刻な病気ではありません。最も一般的な原因は「舌苔(ぜったい)」の過剰な付着です。舌苔とは、舌の表面にある糸状乳頭という細かい突起の間に、剥がれ落ちた粘膜の上皮細胞や食べかす、そして細菌などが溜まってできたもの。誰にでも多少はありますが、これが厚く堆積すると舌全体が真っ白に見えるのです。では、なぜ舌苔は厚くなるのでしょうか。その背景には、ストレスや疲労による免疫力の低下、唾液の分泌量が減るドライマウス(口腔乾燥症)、そして胃腸の不調などが隠れていることが多いのです。体が疲れていると、新陳代謝が乱れて舌苔が剥がれにくくなったり、唾液の自浄作用が弱まったりします。また、胃腸の調子が悪いと、舌の表面が荒れて舌苔がつきやすくなるとも言われています。その他、稀なケースではありますが、口腔カンジダ症というカビの一種が原因であったり、こすっても取れない白い膜は白板症という前がん病変の可能性も否定できません。舌が真っ白な状態は、あなたの体が発している何らかのサインです。まずは慌てず、その原因がどこにあるのか、自分の生活習慣や体調を振り返ってみることが大切です。