舌を強く噛んでしまった後、鏡を見てみると、噛んだ部分が赤黒く、ぷっくりと膨れ上がっていることがあります。これは内出血によってできた血豆、専門的には血腫(けっしゅ)と呼ばれるものです。見た目のインパクトが強く、何か悪いものではないかと不安になるかもしれませんが、基本的には心配のいらないものです。血豆は、噛んだ衝撃で舌の内部にある毛細血管が破れ、行き場を失った血液が粘膜の下に溜まることで形成されます。皮膚にできる青あざが、口の中にできたものと考えると分かりやすいでしょう。痛みは、ある場合とない場合があります。多くの場合は、数日から一、二週間かけて、体内に自然に吸収されていき、徐々に小さくなって色も薄れ、跡形もなく消えていきます。ここで最も気になるのが「潰すべきか、否か」という点でしょう。結論から言うと、自分で無理に潰すのは絶対に避けるべきです。針などで突いて潰してしまうと、そこから細菌が入り込み、感染を起こして化膿したり、治りが遅くなったりするリスクがあります。自然に破れてしまった場合は、刺激の少ないうがい薬などで口の中を清潔に保つようにしてください。基本的には自然治癒を待つのが最善策ですが、血豆が非常に大きくて食事や会話に著しい支障をきたす場合や、何週間経っても全く小さくならない、痛みがどんどん強くなるといった場合は、歯科や口腔外科を受診しましょう。専門医であれば、衛生的な環境で適切に処置をしてくれる場合があります。まずは慌てず、自然に吸収されるのを待つのが賢明です。