日々の診療で「舌が真っ白で気になるのですが、大丈夫でしょうか」というご相談は、非常によく受けます。患者さんの不安な気持ちを和らげ、正しい情報をお伝えするのも私たちの重要な役目です。まず、舌が白いと訴えて来院される方の九割以上は、病的なものではない「舌苔」が原因です。私たちはまず、患者さんの生活習慣や体調についてお話を伺います。最近疲れていませんか、ストレスはありませんか、胃腸の調子はどうですか、といった質問です。これらは舌苔が厚くなる背景を探るために非常に重要です。その上で、お口の中を拝見し、舌苔の状態を確認します。そして、これが生理的なものであり、過度に心配する必要はないことをお伝えします。その上で、ご自宅でできるケアとして、舌ブラシを使った正しい舌磨きの方法を丁寧にご指導します。力を入れすぎず、一日一回、朝起きた時に行うのが基本です。セルフケアで十分改善が見込める場合がほとんどです。しかし、私たちは同時に、それが本当にただの舌苔なのか、他の病気の可能性はないかを慎重に見極めています。例えば、白い部分をガーゼで拭ってみて、下の粘膜が赤くただれるようなら「口腔カンジダ症」を疑い、必要であれば抗真菌薬を処方します。また、拭っても全く取れない硬い白い病変であれば「白板症」の可能性を考えます。この場合は、悪性化のリスクを考慮し、専門の医療機関へご紹介することもあります。舌が真っ白な状態は、体からのサインです。その多くは「少し休んで」という優しいメッセージですが、稀に重要な病気が隠れていることもあります。不安を抱え込まず、私たち専門家を頼ってください。プロの目で確認することが、何よりの安心と、適切な対処に繋がるのです。