あれは、私が新しい部署に異動して間もない頃でした。慣れない仕事と人間関係のプレッシャーで、心身ともに疲れ果てていたある朝、鏡に映った自分の舌を見て愕然としました。舌全体が、まるで白いペンキでも塗ったかのように真っ白だったのです。それに加え、口の中は常にネバネバとし、何を食べていなくても嫌な味がするような感覚がありました。最初は「疲れているだけだろう」と軽く考えていましたが、その状態は何日経っても改善しません。むしろ、日に日に白さが増しているようにさえ感じられました。食事の味もよく分からなくなり、人と話す時も自分の口臭が気になって、だんだんと内向的になっていくのを感じました。このままではいけない。そう思い、私は自分の生活を根本から見直す決意をしました。まず、どんなに忙しくても日付が変わる前にはベッドに入ることを徹底し、睡眠時間を確保しました。食事も、これまでは手軽なカップラーメンやコンビニ弁当で済ませることが多かったのを改め、野菜スープやヨーグルトなど、胃に優しく栄養のあるものを意識して摂るようにしました。そして、休日にはスマートフォンを置いて近所を散歩するなど、意識的にリラックスする時間を作ったのです。そんな生活を二週間ほど続けた頃でしょうか。ふと鏡を見ると、あれほど頑固にこびりついていた舌の白さが、少しずつ薄くなっていることに気づきました。口の中の不快なネバつきも軽減され、食べ物の味がはっきりと感じられるようになっていました。あの真っ白な舌は、私の体が発していた悲鳴だったのです。この経験を通じて、私は心と体の健康が密接に繋がっていることを、身をもって学びました。